プラレール幻の逸品展示室:その30
新動力と旧動力の狭間に
〜新動力屋根未塗装のプラレールたち〜


1990年代初頭
プラレールに今までで最大の変革期が訪れました

それは前スイッチの「旧動力」から屋根スイッチの「新動力」への移行です

旧動力の最大の欠点は、手転がしが出来ないということでしたが
新動力は、スイッチを切ることによりギアが外れ、手転がしが可能になりました
これにより、電池が切れてもプラレールで遊ぶ事が可能になりましたが
構造上ギアボックスとスイッチが一体となり、屋根上にスイッチが来るようになったため
残念ながらリアルさという面では一歩後退した感があります

しかしトミーは、その埋め合わせのためか動力方式の切り替えに合わせ、別の形でプラレールのグレードアップを図りました
それは、それまでプラ成型のままだった屋根部分などが塗装となったり
パノラマカーに代表されるように、仕様変更(白帯が入った)がかなりのプラレールについて行われた事です

もちろんトミーとしては、動力変更と仕様変更を同時期に発注したと思われます
しかし、当時はまだ、現在ほど品質管理が徹底しておらず
一部の車両については短期間、新動力で旧仕様という形のものが市場に出回りました

一番有名なのは「電車青」「電車黄」「電車緑」
そして、「東海型急行」と、その色換えの「おどりこ号」でも新動力で屋根未塗装というバージョンが存在しています

今回、電車3種をメインに、そういった狭間に生まれたプラレールのバリエーションを紹介しましょう


一見すると、旧動力のEC箱のように見えます
しかし、箱を開けてみると…
な、なんと新動力になっています


屋根のスイッチに注目!新動力の証です
(ちなみに3種揃えるの、大変でした)(^_^;)
箱の裏面の説明は、旧動力のままですので、本当に短期間しか生産されなかったと思います


東海型急行と、電車青では、新動力になってからの文字箱で屋根無塗装のものがあります
(おどりこ号にも新動力で屋根無塗装とグレー塗装のものがあります)



東海型は、屋根無塗装に加え、パンタも旧動力時代のグレーになっているのが妙な統一性を感じさせますね
(ちなみに屋根がグレー塗りになってからは、パンタは黒に変更されています)

このような切り替え時の微妙な仕様違いは
メーカーにしてみればミスロットということになるのでしょうが
コレクターにとってみると、希少性と当時の生産現場のおおらかさを感じさせる
とても貴重なアイテムとなっています

今回はご紹介できませんでしたが
現物は所有していますので、「おどりこ号」の新動力屋根無塗装も探し出して近いうちにご紹介します
(ちなみに、おどりこ号は、新動力になってからまもなく絶版になってしまったので実は屋根グレーの方が珍しいと言われています)


スカイライナーの仕様変更(旧塗装→新塗装)も有名ですが
これは実は動力の変更とは少し時期がずれています
従って、「旧塗装・旧動力」「新塗装・旧動力」「新塗装・新動力」の3つのバリエーションが存在します!
これはまた、別の機会にご紹介しましょう


(2006年4月28日ページ作成)