第37話
熱き誓いの夜に

(シナリオ仮題・熱き誓いの夜に)

日記をつけるアンドレ

1789年7月12日・朝
昨日、大蔵大臣ジャック・ネッケル氏が罷免された。
そして愛国者虐殺のデマが飛び、民衆が武装を開始した
パリに、もう昼と夜の区別は無い
人々は棒を持ち、ナイフをかざし路地裏を走り回る
パリに集められた10万の軍隊が、かがり火を焚き市民を怒鳴りつける
混乱・・・そして疑惑・・・
これが新しい時代の胎動なのだろうか
輝ける明日のための何かなのだろうか?
・・・わからない
わからないが見つめよう
この時代の節目を
俺の右目で
もう、殆ど見えなくなりかけた俺の右目で

左目を負傷したアンドレ
残された右目にも光は徐々に失われつつあった

オスカルも、また胸の病(結核)に苦しんでいた
「私とて死にたくはありません
しかし、いずれその日が来るならば、それまでに精一杯生きたいのです。
自由に・・・そして、あるがままの心で」
「このままでは、長くて半年のお命で、ございます」

ラソンヌ先生、涙ダ〜ッ!

オスカルは、そこで初めてアンドレの右目の事を知るのだった
「アンドレ・グランディエが失明するのは時間の問題です」

A中隊に戦闘装備での出動命令が出た

ダグー大佐はオスカルに言う
「隊長、お顔の色が冴えません・・・
私の妻が去年、死にました、胸の病で、ですから・・・わかります!私には!」
ダグー大佐、涙ダ〜ッ!

アンドレを部屋に呼ぶオスカル

だが、アンドレには、もうオスカルの姿も殆ど見えないのだった

人の波は自由への轟音を轟かす
もう誰も止めることは出来ない
海辺の大きな岩でさえ、波はその形を変えることが出来る
自由、平等、そして博愛
翻る我らの旗を見よ
セーヌよ!忘れるな、この日の事を
歴史を作り出す、この大きなうねりを!


軍隊の警備の手薄な箇所をついて民衆は駆け巡る
飢えを満たすために食料倉庫が襲われ
銃を求めて武器商人の倉庫へと向かう

B中隊に出撃命令が出た
「武装せる暴徒集団を鎮圧せよ!」

馬の支度を整えているアンドレ
そこにジャルジェ将軍
「ひと言だけ私の気持ちを伝えておきたい・・・
もし、お前が貴族ならば私は間違いなく
お前とオスカルの結婚を許していたろう
いや、心からの祝福を贈っていたはずだ
死ぬなよ、アンドレ、必ず戻って来い!」

武器と弾薬を得るためにアンバリッドへ向かう民衆
オスカルとアンドレは彼等に襲われながらも、川岸にたどり着いた

「アンドレ!私から離れるな!」


アンドレの目の事に触れ、屋敷に一度戻ろうと言うオスカル
アンドレを帰し、自分だけ衛兵隊の宿舎へ向かおうというのだ
「俺は行くよ・・・オスカル
今までもそうだったが、これからもそうだ。俺はいつもお前と共にある」

「アンドレ・・・私はかってフェルゼンを愛した
おまえに愛されているのを知りながらもフェルゼンを愛した
そんな私でもなお愛してくれるのか?」

「全てを命ある限り」
「ああ・・・アンドレ愛しています
私も・・・
心から・・・」

「わかっていたよそんなこと
もう何円も前から、いやこの世に生を受ける前から」

抱擁っ!

「アンドレ・グランディエ・・・あなたがいれば私は生きられる
いえ!生きていきたい

今、オスカルはアンドレ・グランディエの妻となった


肖像画を見ながら語りかけるジャルジェ将軍
「生きよ!オスカル!お前の心の命ずるままに!」

ばあやはオスカルから手紙を預かっていた
「私ごとき娘を愛し、お慈しみ下さって、本当にありがとうございました」
「何を言うか!オスカル!
まるで、それでは本当の別れのようではないか許さん!許さんぞ!オスカル!」
ジャルジェ将軍、涙ダ〜ッ!


ワンポイント講座

セルも無いのに長くてスマン
省くわけにはいかんぜよ

これまた、ジャルジェ将軍編
そしてダグー大佐編
みなさん、美味しいトコを持っていかれますコト

オスカルの肖像画が完成した
目の殆ど見えないアンドレは実際に描かれている絵と全っ然!
違う印象を捲くし立てます (^_^;)
それでも「ありがとう、アンドレ・・・ありがとう」と涙・ダ〜ッしながら言い切るオスカル!
愛!それは気高く♪

アニメだと川岸で結ばれる二人ですが、この時、オスカルって34才なのよ〜!
んで、外よ!外っ!きゃっ!まぁ、7月だし・・・いいか?
↑何、言ってんだろ、ワタシ・・・

原作では「あとで私の部屋へ」って・・・オスカルたら〜
「今夜、ひと晩をおまえ・・・と・・・
おまえといっしょに・・・
アンドレ・グランディエの妻に・・・」

あとは、もう原作を読んでいただいて堪能して下さいね!
しかし・・・アンドレの「こわくないから」は
経験があったからと言うのが(ベルサイユのばら大事典より)
わははは!も〜!(照)



すべての苦難を越えて今、結ばれたオスカルとアンドレ
新しい世界の扉を開けるために立ち上がった二人だったが
王室側の兵士の撃った一発の銃弾が、
今や愛する夫でもある
アンドレの胸を貫いて
次回
ベルサイユのばら
運命の扉の前で
おたのしみに



第38話
運命の扉の前で

(シナリオ仮題・運命の銃弾)

1789年7月13日の朝が、間も無く明ける

「私は今、この場で諸君の隊長である事を辞める
何故なら私の愛する人、私の信ずる人が
諸君と同じように民衆に対し発砲しないと思うからだ
私は、その人に従おうと思う
その人が、民衆と共に戦うと言うなら私は戦う
諸君・・・私はアンドレ・グレンディエの妻となった
私は夫の信ずる道を共に歩く妻となりたい」

皆さんっ!お聞きになりまして?
素晴らしい心掛けだわ〜

チュイルリー広場
民衆はアンバリッドの兵器庫を襲い
23000丁の銃を手に入れていた

そして、ひとりの兵隊の発砲が引き金となり
ついにフランス大革命の血で血を洗う凄惨な戦いの幕が切って落とされたのである

「この階級章は、もういらないな」
ベルナールの助けもあり民衆に迎え入れられるオスカルと衛兵隊員達

オスカルとロザリー
第26話「黒い騎士に会いたい!」
以来の再会

午後に入って軍隊と民衆との戦闘は至る所で行われ
その激しさは、益々エスカレートしていった
そして連隊本部から出された元衛兵隊員達への討伐命令は
既に全連隊へと行き渡っていた

50名いた元衛兵隊員たちは、約半数になっていた

そして一発の銃弾がアンドレの胸を貫いた!


ワンポイント講座

ダグー大佐編<ホントかいっ!

戦いになったら、その場で衛兵隊を辞めて革命に身を投じよう
B中隊の誰もが思っていた

それを聞いたダグー大佐
「あなたは貴族だ、私達と行動を共にするとは思えない」
「はっ!ご一緒できません」
「今、ここで聞いたことを連隊本部へ報告なさるもなさらぬもあなたの自由です」
「はっ!報告するつもりです・・・
ただし、今日一日は私は無断で休暇を取るつもりです
報告は明日以降になるでしょう
お身体をくれぐれもお大事に」

アランに「おめでとうよ!お二人さん!」と言われて
「あ・・・いや・・・」と照れ臭そうなオスカルとアンドレが、ちとカワイイ

原作だと一度サン・ジュストが姿を消します
「故郷へ帰る!こんど、もどってくる時は
ピカルディー州代表の議員だからね−っ」

アニメだと偶然撃たれた感のあるアンドレですが
原作だと衛兵隊のジャンが撃たれ、それを気にしたオスカルがタイミング悪く咳き込み
そのオスカルをかばってアンドレが撃たれます。

この辺りは原作でも、かなり盛り上がりを見せ
台詞というより詩で表現された箇所も多く
当時、これを読んで泣いたという人の気持ちが、ちょっとわかったような気がしました。

アニメでもドラマでも次回が悲しい内容なのに
「おたのしみに」って言うね!(笑)



あのアンドレが死んだ
いったい、この先
オスカルの空しさの癒される時があるのだろうか
見ればバスティーユの大砲が
不気味な口をオスカルに向けている
運命の7月14日
その夜明けは近い
次回
ベルサイユのばら
あの微笑みはもう還らない!
おたのしみに