2005/1/3:難しい大腸ポリープ(difficult polyps)、難しい大腸腫瘍(difficult tumors)について。

大腸ポリープの中には切除のきわめて難しいものがあります。癒着しているものや、病変基部が広範に及ぶもの、数が多いものの臨床的取り扱いは難しいものです。アメリカでは、ここ2−3年、切除のやさしいポリープと区別して、こういったポリープを(difficult polyp)と呼んで、特別に取り扱いはじめました。

先日、某日赤病院で、癌性のポリープが2個見つかり、開腹手術を勧められた患者さんがいました。癒着がある上に、大きさが数cmにもおよび、内視鏡では技術的に切除できないと言われたそうです。患者さんはどうしても開腹手術を避けたかったので、「中目黒消化器クリニックなら開腹せずに癌が取れるかもしれない。」との評判を聞いて、当院に来院なさいました。診察してみると、まさに、「difficult polyps」でありました。上記の3条件がすべてそろっていたのです。まず1つは、1cm弱の陥凹した病変(癌)がポリープ切除後の瘢痕収縮部の部分に発生していました(遺残再発?)。次に、腸管の約3/5周にも及ぶ約6cmの大きな側方発育進展型の腫瘍(癌)がありました。図1厄介なことに、単に大きいだけでなく、すぐ奥のポリープを先にとっていたため、癒着して大変取りにくい状態になっていました。そして、そのほかに大腸ポリープが13個ほどありました。

私は、2チャンネル内視鏡や、拡大内視鏡、アルゴンプラズマ焼却装置、特殊切開器具、縫合器具などを駆使して、まったく合併症なく、完全に腫瘍(癌)を取り去ることができました。図2、図3。幸い癌は粘膜内にとどまり、転移の危険性はなく、開腹手術をせずに済みました。当院ではそんなDifficult polypにも十分対応できる技術と設備があります。