(2)新たな国内政治への希求 昨年夏から始まった、大統領選挙時の不正資金問題を契機に、今回の総選挙では、カネのかからない選挙が進められた。現在、中央選管によって集計中ではあるが、現段階で、候補者一人当たり平均で約800万円ほどと推計されている。 また、今回から、候補者による票集めのための金のばら撒きや接待などを、通報した市民に対して、中央選管が与える報奨金の限度を5000万ウォン(約500万円)に引き上げた。実際に、大邱東区で出馬予定だった人物ら3人が、昨年10月に選挙事務所を設け、各種行事に約2700万ウォン(約270万円)の金銭と食べ物を提供したとの内容を申告した市民2人に、褒賞金最高額の5000万ウォンが支給された。こうした中で、急速に政治の腐敗の根源である、政治と金の問題にメスが入れられたのである。旧型スタイルの政治家にとっては、非常に生きにくい世の中になった。 同時に、金を集めなくていい政治家にとっては、大変活動しやすいシステムとなった。こうして、山積する問題解決に向けて、政策本位の政治を実現する基盤は整ったと言える。当選議員たちの今後の政治活動に期待したい。 加えて、野党ハンナラ党は、第17代議員当選者から「財産信託制度賛同同意書」を受けている。誓約書の骨子は、すべての財産を金融機関に任せ、任期中は財産増殖に本人は一節関与しないというものである。実際、第16代の国会議員たちは、所属する国会常任委員会に関連する企業の株式を大量に保有し、高位公職者の株式投資の成功率は一般人の投資家の6倍に達しているという統計も出ている。盧武鉉政権も、4級以上の公務員に同様な財産運用の制限を加える「利害衝突防止制度」を、2005年から適用することを明らかにしている。
こうした、お隣韓国の実情を、「親北・左傾・民族主義」として描いてしまうのは、意図的であれば、ある種の政治的意図に情報の受けて側を誘導しようとする問題をはらんでいるし、また、意図的でないのであれば、ニュース生産者である報道機関の、記者自体の能力不足や、視点の浅さを反省しなければならないのではないだろうか。現在起きている現象を、安易に「親北・左傾・民族主義」として片付けてしまうのは、実は、日本の特殊な民族主義なのではないかと思える。表面的で、浅い情報からは、どのようなものであれ、もっとも有効な政策は打ち出されえない。私たちの暮らす東アジア地域に関心を高めるためにも、情報生産者である記者の質の向上が緊要である。
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