2.提言の内容
(1) 現状と課題
静岡県浜松市は平成18年7月に周辺12市町村が合併して、人口82万人、広さが1500 平方Kmという大きな市となり、昨年平成19年4月に政令指定都市の仲間入りをした。ピアノやオートバイなどの物づくりのまちとしても知られる一方で、北遠の中山間地域から西区の海岸地域まで、豊かな自然に恵まれ、気候も温暖で、農水産業も盛んで、住みやすいまちであると思う。しかし、一方で、いわば「車が無いと暮らせないまち」でもある。郊外型の大型ショッピングセンターがいくつも出来、車が無いと買い物が出来ない状況がある。私は中区の中心部に近い中沢町に住んでいるが、歩いて行けるスーパーが近くにない。これまで何軒か小さな店はあったが、経営者の高齢化や仕入れが困難ということで、シャッターを閉めてしまった。我が家は、主人の母の世代から言えば、もう30年以上も生協の共同購入に頼っていたが、この共同購入でさえ、仲間の高齢化で個別宅配(おうちコープ)に変えざるをえなくなった。こんな現状の中で、益々コミュニティは疎遠になり、食料品を始め、日用品の確保にも不安を感じざるを得ない。
そんな現状とそこから見えてくる課題をまとめると、次の様になる。
@ 生産者、経営者、消費者、共に高齢化が進み、車社会の限界もあり、ユニバーサルデザインの視点からも生活環境の改善が求められる
A CO2 削減が求められる中で、地産地消を推進することでフードマイレージを減らし、環境に配慮したライフスタイルを現実化する。
B 対話型のコミュニティ流通を通して、物だけでない、人や情報の交流拠点としてのご近所マーケットを市民の手で広げることにより、コミュニティの再構築を図る。
次に、生産者、流通、消費者という視点から課題を整理し直してみると次ぎの様になる。
@ 生産者からの課題:市場に出す程沢山は生産出来ないが、取りにきてくれれば、出せる物はある。
規格外品でも捨てるのはもったいない。
新鮮なものを早く消費者に届けたい。
A 流通からの課題: 仕入れに行くのが困難で店を続けられない。
毎日店を開けるのは辛いが、週1.2日なら・・・
配達の車が片道空になるので、ついでに運ぶ物があれば、
B 消費者からの課題:車に乗れないので、買い物に行けない。
荷物が重くて持てないのでカートで、小さな子供がいるのでバギーで、買い物に行きたい。
ちょっとした買い物が気軽に出来る所が必要。
ご近所の情報交換が出来る所があるといい。
そんな中で、誰でも歩いて行ける「ご近所マーケット」があちらこちらに出来たら、それぞれの課題の解決に有効なのではないか、と考えた。
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