「NPO公共哲学研究会」発足について(案)
NPO PUBLIC PHILOSOPHY CONSORTIUM (略称NPPC)
金沢大学大学院教授/ ( 特非 ) NPO研修・情報センター代表理事 世古一穂
1 研究会の趣旨
「NPO公共哲学研究会」は次の 5 つの柱を目的、ミッションとする
@ 日本の市民社会の基盤となる「NPO公共哲学」を構築する 。
1998年にNPO法が施行されて、NPO法人数は2007年現在、3万法人を越える状況になっている。しかし、社会構造的に市民セクターの財政基盤が脆弱なこと、行政セクターとの協働が強調されているが実際にはNPOが行政の下請け化するなど自立した市民セクターの形成にはいたっていない。
市民活動団体の基本的な活動理念、ミッション、社会的役割を根本的に問い直す必要がでてきている。
そのためには日本の市民社会の基盤となる哲学が必要である。
それは従来の「公共」概念からパラダイム転換し、市民セクターが拓く新しい“公共”を理念化するものである。
本研究会はそれを市民とアカデミズムの研究者との連携のもとに「NPO公共哲学」として構築し、普及していくことを大きな目的とする。
A プロジェクトを創出し、実証作業を通して「NPO公共哲学」を形成しつつその真価を問う
アカデミズムで議論すると同時に、日本におけるNPO、行政、企業のパートナーシップにもとづく参加協働型社会を形成していく上での課題を抽出する。その解決方策を、プロジェクトを創出し、実践的に検討、検証することにより、現実社会を変革する哲学として「NPO公共哲学」を形成し、これを普及していく。
B 東アジアにおける市民社会形成にむけての「NPO公共哲学」としていく
西洋の市民社会とは異なる日本の文化、歴史を踏まえた日本の市民社会を形成していく基盤となる哲学を構築するとともに 、 東アジアの市民と協力・対話しつつ研究活動をおこなう。東アジアのNPO・NGOのネットワーキングの基盤となる「NPO公共哲学」を研究、創造していく。
また、これから日本のNPO・NGOは、政府や政党・議員・NGO / NPO、国際機関に対する政策提言活動をますます発展させていくことが必要である。
そのためにも、環境、貧困、人権等、地球的視野での公正と共存という視点での「NPO公共哲学」を目指していく。
C 市民社会をエンパワメントするメディア理論の創出
日本のメディアの批判的研究を通して、市民社会におけるマスメディア、市民メディアの新たな役割について検証し、具体的な市民社会をエンパワメントするメ ディア理論を創出する。
D 「NPO公共哲学」の成果の出版
研究成果をまとめて出版し、「NPO公共哲学」の意義と必要性を世に問い、社会的認知を高める。「NPO公共哲学」のシリーズ化を目指す。 |