番組をつくるきっかけは、緒方貞子元国連難民高等弁務官の活動を追った、東野真著「緒方貞子 ― 難民支援の現場から」 (2003) との出会いに遡る。
この本では、緒方氏が常に「命」を優先し、難民支援の難しい局面を切り開いていく様子が本人の回想に沿って綴られている。そして難民問題に「継続的な関心を持つこと」 「メディアの活用」が重要であると強調されている点が特に印象に残った。
そこから視聴率に拘る必要のないコミュニティラジオなら難民問題というマイナーなテーマをずっと扱い続けることが可能なのではないかと考えたのである。
早速、ラジオカフェのスタッフに企画を持ち込んだところ「ぜひやりましょう」と背中を押してもらった。企画を評価してもらったことが支えとなり、その勢いで UNHCR 駐日事務所(東京都)に電話をかけた。企画書を見てもよいという話になり、その後「日本でメディアを利用した難民支援というのはこれまでありませんでした。非常にユニークな企画だと思います。ぜひいろいろと相談しながらやっていきましょう」との返答を得た。
以来、 UNHCR が発表する難民速報をもとに、例えばスーダンで発生した難民数と 京都市内の学生数とを比較するなどして番組を作ってきた。
毎週土曜日 19 時から 6 分間という短さではあるが、現在では難民の発生状況だけではなく、難民本人や難民支援の現場にいる人々へのインタビューが多くなっている。 UNHCR の職員や国際協力 NGO のスタッフが任地から帰国した当日にインタビューすることもあれば、学生団体の取り組みを紹介することもある。
2006年6月、 UNHCR と国内外で難民問題に取り組む NGO が「難民支援に面白さ、楽しさのスパイスを加える」ことを目的に J-FUN ( Japan Forum for UNHCR and NGOs )を発足した。アムネスティインターナショナル・ジャパンやジャパン・プラットフォーム、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンなど錚々たる NGO の中で「地域で、メディアで」という活動が評価され、難民ナウ!もメンバーとして参加、活動している。 小さなメディアではあるが、これからも「難民問題を天気予報のように」のコンセプト通り良い意味で「軽い」活動を続けていきたいと考えている。
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