2.主婦に人気のクックパッド Cookpad
一般に学生や若者のネット利用についての話はとても多い。今回は、主婦に人気のサイトについて紹介したい。1998年からサービスを開始、10年近くサービスを提供している日本最大の料理レシピサイト「クックパッド Cookpad」である。
http://cookpad.com/
クックパッドの公表データによると、ユニークユーザーが280万人、96%が女性で、その48%が30代、33%が20代である。女性ユーザーの68%が既婚であり、その6割が専業主婦である。計算すると、110万人の主婦がユーザーである。クックパッドの利用頻度も、ほぼ毎日が45%、週に2〜3度が33%。かなり利用頻度が高い。
女性のアクセス数が多いサイトとして、@cosmeのユーザーは95万人である。これと比べても、いかに多くの女性がアクセスしているかわかる。
掲載されているレシピは、2001年に1万品、2004年に10万品、2006年に25万品,現在24万品近くに迫っている。自分のレシピを簡単に写真入りで掲載でき、レシピの注目度を見ることもできる。日記(ブログ)にレシピを引用することもできる。ユーザー参加型であり、自分のレシピへの注目度を確認できる。友達に自分のレシピをメールで紹介できることもできる。
いわば、料理レシピを介したソーシャルネットワークだといえる。
このサービスを創設した佐野陽光氏がアメリカで体験した食生活の貧しさが原点にあるようだ。アメリカの一般市民の食生活は決して豊かとはいえず、きちんとした食事をしているように思えない。ひるがえって、日本の食文化は極めて豊かなものをもっている。とくに、農家は食材を収穫して、どのタイミングに食べると一番おいしいか、また保存食にしておいしく食べるノウハウを蓄積してきている。
それが、個食の浸透によって、コンビニ弁当に象徴されるように急速に規格化され、食文化のノウハウが廃れていこうとしている。家庭の主婦が、毎日工夫をして蓄積している料理レシピのノウハウを共有化することによって、レシピ投稿者のネットワークが形成され、新しい料理レシピを生み出すことにつながっている。
これは、井戸端で生活の工夫を情報交換していたノウハウを明示的により多くの参加者が集まる広場で行った点に工夫がある。料理レシピを参考にしてつくった料理を写真付きで掲載できるようになっていて、料理レシピでつながる人の輪が広がっている。おもしろいことに、同じ料理レシピを参考にしてつくった料理が、それぞれ違った料理のように見える点である。さらに、料理レシピを参考にして生まれた新しいレシピが、もとのレシピの下に掲載されている。
食材に関する情報も豊富である。食品メーカーによる食材の利用キャンペーンなども行っている。
主婦がネットを使うのに料理レシピの検索というのは合理的であり、そこにネットならではの利用価値が生まれる。コミュニティ・レストランは、レストランという場を通じてコミュニティの再生をねらっている。料理レシピという情報を介して、人と人がつながり、楽しい食を創成するともに,食文化を蓄積しつつ発展させる道具として活用されている。
ネットの活用例としては,ユニークなサービスなので紹介した。
ユニークユーザー数を比較対照した「@cosme アットコスメ」も非常に有名なWebサイトである。化粧品の利用情報、いわゆる口コミを投稿するサイトである。化粧品が肌に合うかどうか、使ってみた利用経験など、細かい情報が交換されている。たとえば、肌と化粧品の相性を確認する、自分にあった化粧品を探すなど利用方法はさまざまである。登録商品は10万点以上、300万件以上の口コミを検索できる。一度、のぞいてみて欲しい。
アットコスメ http://www.cosme.net/