3.香港でも公正はかなえられなかった
WTO draft sets date to end farm export aids
http://southasia.oneworld.net/article/view/124315/1/
WTOの作成した草案は、農産物輸出補助金を2013年に終了すると期日を設定し、最も貧しい状態にあるアフリカの綿生産者にWTOは小さな支援を提示した。草案によれば、 合意した計画は世界経済に数十億ドルを注入することができ、貧困から何百万人かを救い上げるかもしれない。開発途上国はそれを用心深く歓迎した。香港でのWTO関係閣僚会議の参加者は豊かな国と貧しい国の間で行われた激しい交渉を経て提案された妥協したテキストを承認しなければならない。草案には「私たちは、2013年の終わりまでに農作物の輸出補助金の廃止を保証することに合意します」とある。
しかし、開発途上国の利益を求めるNGOは、そのことをよしとしなかった。「公正は香港でも伝えられていません」とカトリックの救助機関CAFODが語った。
( One World South Asiaより)
コメント 日本ではこの香港のWTO閣僚会議での市民社会の抗議について、韓国の活動家を中心とした過激な行動を、過去のシアトルやカンクンでのWTO会議で行われた抗議行動と引き比べている。中国政府の香港における今回の警備は、天安門事件の警備以来の厳重さだという報道もあった。しかし、なぜこのような激しい抗議が起きるのか、抗議する側の主張と焦燥を正しく理解する必要があるだろう。
世界の一方には農業補助金でなければ国際競争に耐えられない農民があり、農業が自由化されていないので輸出ができないと抗議する農民がいる。一見対立するようだが、農業のあり方、位置づけを考えると、同じ問題が根っこにあるのではないかと思えてくる。
また、社会サービス、特に水 ( 水道事業 ) の民営化、自由化に対する抗議は大きい。それは、イギリスや南米で社会サービスを自由化することで、 結局料金が値上がりし、貧しい人たちが利用できなくなったという過去の苦い経験があるからだ。電気やガスがなくても生きていけるが、水がなければ生きていけないのだ。その命綱を利益を優先させる民間企業にゆだねていいのか。
民営化が日本でも大きなテーマになっているが、民間に任せられるサービスと任せられないサービスがある。 そのことを「命」 「人権」 「機会」 「平等」などのいくつかのキーワードから考えることが大切だろう。
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