4.ブログと大統領選挙
1924年は初めてラジオで報道された選挙、1954年はテレビ、2004年はブログで報道された選挙だと言われる。この選挙に関する政治ブログの人気が高まり、ブログ読者が一気に増えた。オンラインメディアにおける一つの転換期といってもよいかもしれない。
民主党のDean氏のキャンペーンは、初めてオンラインツールを駆使した政治キャンペーンとして語られることが多い(注1)。Dean陣営は、Dean for Americaというブログを立ち上げ、Dean氏の政治思想や政策における立場などを表明する場とした。同時に、数人のブロガーによって、様々なニュースの解説、他の政治ブロガーたちへの意見へのリンクなどが多数張られた。コメントやトラックバックを公開して、有権者やボランティアが参加できるようにした。多い日には2000を超えるコメントが入った。政治資金を集めるための場としても活用した。目標までの金額を表示し、人々の募金への気持ちを煽った。
参照: http://nikkeibp.jp/style/biz/marketing/orita/050614_senkyosen2/
John Kerry氏のケースもブログの影響力を示すものだ。彼は、ベトナム戦争で名誉の負傷をし、勲章を受けたヒーローであるとされてきた。また、帰国後反戦運動家と政治的な地盤を作ってきた。そのため、イラク戦争に反対することによって、Kerry陣営は有利に選挙戦を進めることが予想された。ところが、Kerry氏と一緒に従軍した260人の元兵士がSwift Boat Veterans for Truthという団体をつくり、彼が報じられているようにベトナム戦争で活躍したわけではないといい始めた。
Swift Boat Veterans for TruthはSwiftvets.comというサイトを運営している。次の図は、Intelliseek社のBlogPulse ( http://www.blogpulse.com/)による調査結果で、Swiftvets.comがブログ書き込みでどれだけのシェアを得たかというデータである。
@ ブロガーに取り上げられ一気に書き込みが増えた時期
A Swift Boat Veterans for Truthに関する書き込みが徐々に増えていく時期
B Kerry氏がSwift Boat Veterans for Truthに対して反論して、マスメディアが一気に取り上げが時期で、書き込みがさらに増えている時期
C 徐々に書き込みが減っていく時期
ブロガーに注目された話題にのぼりTVのニュース番組に出演したことで、Swift Boat Veterans for Truthは2600万ドルもの寄付を集めることができた。ブログからのネタがニュースになることは今や当たり前で、ブログに取り上げられた時点でKerry陣営が対応しておけば、Swift Boat Veterans for Truthはこれほど力を持たなかったかもしれない。
参照: http://nikkeibp.jp/style/biz/marketing/orita/050708_senkyosen5/ |