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21 世紀を迎えるにあたって、開発途上国の債務を取り消して、借金の輪から解放することで、資金を人間の開発にまわせるようにしようという運動「 Jubilee 200 」があった。 21 世紀を迎えても、重債務貧困国はそのままであることに、市民社会が債務救済の大きな声を上げているのに、肝心の G8 や OECD が様々なプログラムを作っては条件付けをして、本当に必要な債務取り消しが進まない。
7 月にスコットランドであった G8 サミットでもアフリカの救済や債務取り消しの話し合いが行われたが、市民社会が納得いく成果が得られなかった。このことについては、 『ル・モンド・ディプロマティーク』日本語・電子版の中の「政府開発援助のまやかし ダミアン・ミレ ( CADTM フランス代表) & エリック・トゥーサン(同ベルギー代 表)( http://www.diplo.jp/articles05/0507-2.html )」にも詳しい。
2番目の記事では、南部アフリカのジンバブウェが隣国の南アフリカに借り入れを申し込んだ記事だが、ここでジンバブウェの窮乏の様子が少し語られている。実際に私が得た情報でも、もともとなかなか入らなかったガソリンが政府高官でも入手困難になっており、町のスーパーなどでも食料が少なくなってきているということだ。もちろん、ジンバブウェは債務だけでなく、国内政治の問題もある。独立の英雄だったムガベ大統領が現在は自分の地位に恋々として、独裁化していること、それによって旧宗主国のイギリスをはじめ欧米政府から圧政国家と呼ばれていることなどで、輸入や外貨獲得が困難になっていることも窮乏に拍車を掛けている。ただ、欧米各国政府のアフリカに対するダブルスタンダードな対応もあるので、私自身はジンバブウェが圧政国家と呼ばれるたびに、‘むっ'としていたりする。
さて、私たちが国際協力として考えている政府開発援助 (ODA) が、開発途上国の一部とを苦しめていないのか、苦しめているのなら彼らの生活を思い私たちが日本にいながらどのような行動をとるべきなのかを、じっくり考え、正しい選択をしなければならない。
Not for charity, For justice が、 7 月の G8 サミットの際の市民社会のスローガンだったが、 10 年以上前、アフリカのネットワーク NGO の代表が、日本で「私たちはお金をくれといっているのではない。開発の決定に加えてくれ」といっていた。
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