3.参加協働型社会の議会のあり方について考える際の論点整理
参加協働型時代の地方議会は国会とは異なる論理、地域の自治=協働の論理で議会改革を考える必要がある。
行政への市民の参加を促進する役割と執行機関を監視、政策立案(市民からの政策提言を受け止め協働で政策立案することも含めて)を行っていく議会を「協働型議会」と呼ぶ。
議会の役割は「正統に選挙された唯一の合議体=議事機関」であり、首長とは異なるが対等の力を持つ。地方分権が進展に伴って、この役割がますます重要となる。
市民参加を促進する議会は、行政への市民参加を促進するための提案・監視を行うだけでなく、議会そのものへの市民参加を活用、促進させることが重要である。
行政への市民参加、協働が進めばすすむほど従来型の議会であればその役割と機能を失ってしまいかねない。議会への市民参加を促進させることが協働型議会には必須のこととなる。
議会への市民参加の形は従来の議会報告会や市民モニター制度を超えた、付属機関の設置、本会議での参考人や公聴会の導入などが必要で、これには法改正を含めた検討が必要となる。
分権が進展するこれからの地方議会は、市民参加を基本とした協働型議会は議会の自律性と権限強化を前提として、執行機関の監視や政策立案能力を今まで以上に高める必要があり、そのための実質的な手法の開発が不可欠だ。
議会と執行機関の基本的なあり方として、特に現在首長に与えられている議会の召集権を議長に付与するように法改正することが必要ではないだろうか。自律性と権限を強化する具体的な方策である。
監視機能を高めるためには現行法でも可能な方策として、三重県議会で実施しているように議会が執行機関の政策の立案、実施状況を評価する機関として機能する必要もある。
また、議会の役割や組織、議会と執行機関との基本的な関係を変革すること、 議会そのものへの市民参加の流れをつくること、の他に女性やサラリーマン等が立候補しやすくしたり、議員の兼職禁止の規制を緩めて、例えば他の自治体の職員が立候補できるようにするなどの兼職禁止規定を見直し、地方議員の立候補の多様化、自由化をすすめることも必要である。
それにともなって夜間や休日の議会の開催などの創意工夫が必要となる。
また並行して議員の定数、報酬、処遇を見直すことによって自由で活発地方議会を実現していくことが重要だ。
そのためには350万人の人口を抱える横浜市のような大都市と1000人以下の人口の町村議会が同じしくみであってはどちらにとっても運営しにくいのが現状だろう。全国の自治体の議会に共通のものと選択できるものという議論が必要だ。
各自治体が地域の自治、市民参加、協働の視点から自分たちにあった議会や議員のあり方を選択できるようにするのが分権時代にふさわしい議会のあり方の前提となるのではないだろうか。
協働型議会にむけての論点を整理しておこう。
@議会の役割
・地方分権の進展に伴い、議会に求められる役割について
A市民参加と議会のあり方
・公述人、参考人による委員等への質疑
・傍聴人による質疑、意見公表のあり方
・住民投票の導入 等
B議会と執行機関の基本的な関係
・議長の議会招集権を付与することについて
・専決処分の要件の見直し、不承認の場合の首長の処置の義務付け
・決算不認定の場合の首長の対応措置の義務付け
・再議制度
・選任同意制度 等
C議決事項のあり方
・議決権の拡大
・予算修正権の制約の緩和、予算の議決項目の拡大
・不信任議決と解散 等
D議会の組織のあり方
・閉会中の委員会活動に係る制約の撤廃
・議会の内部機関設置の自由化
・議会の付属機関設置の自由化
・議会事務局機能の明確化 等
E執行機関に対する監視機能のあり方
・調査権、監視権の強化
F地方議員の立候補者の自由化、多様化
・女性やサラリーマン等が立候補しやすくするための方策
・議員の兼職禁止のあり方について
G議員の定数、報酬(処遇)について
・議員の位置づけ
・選挙制度
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