フィリピンでは、「コミュニティ」という概念が生きている。国際交流基金アジアセンターの<次世代リーダーシッププログラム>でフェローとして滞在した1年間に私が訪れたコミュニティベースのＮＧＯは、まさに「地域の変革者」だと呼べるだろう。中でも、ルソン島バタンガス市において15年にわたってコミュニティオーガナイズを行っているＮＧＯ「ＢＵＢＩ」の活動は、地域の人たち自身による地域変革のモデルケースである。
ＢＵＢＩは、バタンガス州都バタンガス市内にある草の根ＮＧＯのネットワークであり、州内で最も長く活動を行ってきたＮＧＯの一つである。1990年、バタンガス市の5人のソーシャルワーカーたちが子どもの支援活動を始め、96年より貧困家庭を対象とした生計自立支援活動としてのマイクロクレジット（無担保小額融資制度）事業を始めた。97年から3年間、オーストラリア政府（AusAID）の支援を受け、2000年にはＮＧＯのベストプラクティス賞も受賞している。現在はバタンガス市内の11地区に広がり、ＢＵＢＩのメンバーは1,000家族を超えた。融資を受けた家族は、平均して月600ペソから1,200ペソの収入増加を達成している。優れた草の根の実践活動である。（ＴＲＣフェロー　森田汐生）
　　

「映画は作り物である」これが前提だが、映画には現実の世界の一部を切り取り、それを虚構の世界に写し取ることで、今日的な課題を提示し、人々の背中を押す力が宿る、そんな思いを強く抱かせる作品だ。
物語の主人公ジャマールはアフガニスタン難民の15歳の少年である。両親はなく、幼い弟がいる。住んでいるのはパキスタンのペシャワールにある難民キャンプ。彼は度々町に出かけ、おじさんに会う。おじさんは自分の息子エナヤットに可能性ある将来を与えたいと英国に脱出させたいと考え、英語が話せるジャマールを供につける。
密入国業者を頼り、2人はロンドンを目指し、パキスタンからイラン、トルコ、イタリアと旅する。舞台が黄土色の乾燥した大地に寄せ集められた借り住まいの難民キャンプから、イラン、トルコと移るごとに、スクリーンの中の色彩が増し、人々の洋服も垢抜けたものになり、ジャマールの格好も少しずつ変わっていく。その変化は、ジェット機で移動する際には気付かないくらい、世界が広く、多様であるという感慨を抱かせる。また、密入国を手助けする業者も含め出会う人々が意外に優しく、そして助け合う様に、私が少しだけ知っているイスラムの世界の懐の深さを思い出させた。
監督はイギリスのマイケル・ウィンターボトム。彼の作品は｢ウェルカム・トゥ・サラエボ｣や｢ひかりのまち｣などが日本でも知られている。ドキュメンタリーの撮影の手法を取り入れているので、映像は普通の映画よりも少し粗い感じがするが、それが物語に奥行きを持たせている。主人公ジャマール(本名も同じ)は、本物のアフガニスタン難民である。彼はロンドンで亡命申請をしたが認められず､１８歳にはイギリスを後にしなければならないという。(TRC常務理事　TRCe-news編集担当　本田真智子)

　　

◆今月のお勧め！
2004年２月28日(土)
29日(日)に東京都内で､｢協働コーディネーター養成講座(中／上級クラス)｢協働のコーディネーターと評価を学ぼう｣を開催します。協働コーディネーターと協働の質の評価を実践的に学ぶ２日間｡
http://www2u.biglobe.ne.jp/~TRC/

◆Announcement
1.講座の案内
協働コーディネーター養成講座
2004年2月28日29日東京開催
http://www2u.biglobe.ne.jp/~TRC/

2．コミレス案内
日米エコレス公開フォーラム
12月13日東京幌開催
http://www2u.biglobe.ne.jp/~TRC/

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆周囲にもメールマガジンの登録をお勧めください。
メールマガジンの登録は簡単です。
trc-melma-subscribe@egroups.co.jp
上記のメールアドレスへメールをお送りください。メールは空で結構です。お送
りいただきますと、Yahoo eグループより招待のメールが届きますので、そちら
を返信してくださると、メールマガジンの登録となります。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
皆さまのご意見ご感想をお待ちしています。

★あとがき★
トム･クルーズ主演映画｢ラスト・サムライ｣の試写会にいった。ハリウッドの描く日本の侍ということで期待していなかったが､意外に面白い｡大切なのは志の高さと筋を通すということなのねと思う｡(PON)