3.障害者の在宅就労の機会と人材を開拓する首都圏テレワークセンター
2004年6月からスタートしたWe
Can!が運営する首都圏テレワークセンターは、さいたま市にある埼玉県合同庁舎に家賃を払って間借りをして活動をしている。教室とオフィスを備えたスペースを確保しており、9月に事業がスタートする。単なる教育研修や雇用の斡旋を行うのではなく、働くための意識・ビジネスの基本能力の研修に始まり、実務研修、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)、メンタルサポートなど多岐にわたるサービスを提供する。基礎教育において、障害者が初めて働くときに直面するビジネスの常識を重視している点がユニークである。
We
Can!が仲介をして企業や行政の発注した仕事と障害者のマッチングを行い、一定水準以上の仕事を納期までに完成させるために、サポーターが支援をしている。その機能にWe
Can!のこれまでの仕事の実績が活かされているようだ。メンタルサポートや首都圏テレワークセンターでの業務研修(OJT研修)など細かな配慮をしている。健常者では、なかなか思い至らない部分である。
■首都圏テレワークセンターの特長1 雇用ニーズやアウトソーシングニーズに合わせた実務研修やOJTを行うことが特長。教育のための教育を行わず、先に受注した仕事があってその仕事に必要な教育訓練を行うこともモットーとしたい。仕事の発注先や雇用先が最も問題。コーディネーターが必要でそこに予算をとっている。セールスができる人材が欲しい。プロデューサー能力も必要。
■首都圏テレワークセンターの特長2 障害者が仕事を続ける上で一番大事なのは、障害者のメンタルな部分のサポートである。障害者は雇用されても3分の2以上が3年以内にやめている。モチベーションも、肉体的にももたない。 いきなり在宅雇用といっても、一人でやっている限り孤立してしまう。福利厚生を含めて仲間意識の中で。勤めている先は違っていても同じ働く仲間として組織化し、テレビ会議システムを使ってコミュニケーションをとれるようにしていく。首都圏テレワークセンターは働く障害者のコミュニティとしての機能を果たしていきたい。東京湾クルーズで花火を見ようかといったことも考えている。
■首都圏テレワークセンターの特長3 仕事を覚えた人がいきなり在宅で業務を開始してもなかなかうまくいかない。企業も業務の成果に関する不安をもつ。首都圏テレワークセンターをサテライトオフィスとして活用し、テレビ会議システムを駆使しながら、企業と障害者とテレワークセンターのコーディネーターの3者で連携をとって業務を進めていく。働く人間がモチベーションを維持できるように。 企業が仕事を出すときに、We
Can!が窓口になって、仕事の品質や完成を保証することで、安心して仕事を発注できる体制をつくることを目指している。
■首都圏テレワークセンターの特長4 障害者の気持ちには健常者に分からない部分があり、障害者でなければ分からないことがある。障害者が主体となって事業をやる意味がそこにある。障害者だからこそ、障害者に厳しいことも言える。その意味からも障害者が障害者をサポートできるしくみが必要である。 かわいそう、気の毒にという思いの中では、障害者は本来の力を発揮できない。われわれは厳しいことも言う、しかし真剣に応援もする。そのような中で本当の力が育ってくると思っている。これがNPOの力だと思う。本音を出せる仲間による協働を目指している。 We
Can!首都圏テレワークセンターにとって、どのくらいの障害者の雇用をつくり出せるか、業務の成果を出せるかどうか勝負どころである。この事業は埼玉県のモデル事業なので、モデル事業として分かりやすい成功例を示すことができる事例を創りたい。標準化できるモデルを創りたい。 障害者のスターをつくっていきたい。年収500万円,請負で1000万円。アピールして障害者が注目し、夢を抱けるスターをつくりたい。少しずつその可能性のある人が出てきている。 テレワークはあくまでも手段だが、テレワークが潜在労働力を顕在化する可能性を秘めている。しかし、それはSOHOでは実現できない。最初から起業できるほど障害者は力がないので、支援するしくみ中間支援が必要である。その機能を担うためには、民間だけや行政だけでは実現できない。さまざまなセクターを結びつける機能が求められる。
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