砥峰A(972.2m)  神河町   25000図=「長谷」


砥峰高原の初夏に咲く

砥峰高原から見る砥峰


 山焼きから一ヵ月半の砥峰高原。快晴の初夏の朝、伸び始めたススキの緑が鮮やかに高原をおおっていた。
 砥峰高原の野草や昆虫を調べている科学部の生徒2人といっしょに歩いた。

 駐車場付近の日当たりの良い草地には、オランダミミナグサやニワゼキショウなどふもとと変わらない野草が多く咲いていた。
 ジシバリがたくさん花をつけていた。黄色でもっと小さな花は、ヘビイチゴやコナスビやカタバミ。オオイヌノフグリには、タチイヌノフグリが混じっていた。

 今日はまず、高原の北に立つ砥峰に登ることにしていた。花を見ていると、駐車場から自然交流館裏の登山口まで40分かかった。

ジシバリ コナスビ

  登山口には古い道標が立っていた。そこから、山道が雑木の中をゆるく上っていた。
 登山道に入って、まず見つけたのがマムシグサ。フタリシズカは、まだ白くて小さな花をつけていた。
 あたりは、ミズナラやコナラやクリの林。落葉が深く積もり、歩くとカサカサと音がした。タニウツギのピンクの花は、もうほとんど枯れていた。
 広い斜面を登っていった。左の小さな谷が少しずつ深くなっていった。

 標高860mあたりで、雑木からスギ・ヒノキの植林に変わった。木立の中に薄く踏み跡がついていた。幹に巻かれた赤いテープと、ときどき現れる道標が道を教えてくれた。

 標高895mで、明瞭な尾根に出た。尾根には、赤茶に風化した露岩が表れていた。 

木漏れ日の登山道 フタリシズカ

 傾斜が急になると、黒い樹脂製の階段が現れ、送電線巡視路となった。
 標高920mで植林を抜け、再び雑木林にぶつかった。しかし、道はその雑木林には入らずに、斜面を西にトラバースするように植林との境界に伸びていた。
 ずっと左にあった谷の上を渡ると、ようやく植林が切れた。大きなリョウブが立っていた。巡視路を進むと少し下り始めたので、そこで道を離れて北へ上った。

 しばらく登ると尾根に達したが、そこは山頂西の小さなピーク(955m)だった。ここには、尾根に沿って土塁が伸びてきていた。
 あたりには、ウリハダカエデの幼樹が密生していた。木々の間から、緑一色の砥峰高原が見渡せた。
 土塁の上を東に向かった。こんなところにもヘビイチゴが咲いていた。少し下ってからゆるく登ると砥峰の山頂に達した。

 山頂には、1枚の山名プレートが置かれていた。三角点を中心に切り開かれていたが、周りの木々が伸びているのであまり展望は開けなかった。それでも、木立の間から平石山の大きな山体を望むことができた。

 切り株や石に座って、早めの弁当にした。
 スギやヒノキの落葉の間から、シノブやオニガシラの小さな葉が出ていた。ニガナが咲いていた。
 山頂には、よくチョウが集まってくる。アオスジアゲハが、頭上高くヒノキの間を飛んだ。モンキチョウはもっと低いところを飛んだ。
 K君が捕虫網を何回か振ったが、その中にチョウは入らなかった。M君は、ここでも野草を調べていた。
 遠くでカッコウが鳴いていた。しばらくすると、ホトトギスの声も聞こえ始めた。空には、小さなちぎれ雲が浮かび、北から南へゆっくりと流れた。

砥峰山頂

 来た道をそのまま自然交流館へ下った。バイクや車でやってきた観光客がちらほらと高原を散策していた。

交流館から望む砥峰高原 高原の木道

 西の木道から高原に入った。ススキやワラビが木道の高さまで伸びている。ホソイやマツバスゲも混じっている。
 木道は、高原内の小さな水の流れをいくつか渡っていた。水の近くにはシラスゲの群落も見られた。
 少し開けたところには、ニョイスミレが咲いていた。 ニョイスミレは、葉がブーメラン型の変種が多かった。

高原の植物 ニョイスミレ(ツボスミレ)

 木道から、高原中央の広い道に出た。その道を上に向かった。この道にも、チョウやトンボがときどき飛んだ。
 テングチョウが、道に止まっていた。「プレイボーイのウサギの模様や。」は、K君に通じただろうか。K君の捕虫網にも、何種類かのチョウやトンボが入った。
 道に水が流れ落ちているところに、ミズタビラコが水色の可愛い花をつけていた。草原の中に点在する岩の周辺など、少し日当たりの良いところにオカオグルマが咲いていた。

ミズタビラコ オカオグルマ

 東屋の先の林に少し入ってみた。林の入り口に、ショウジョウバカマが実をつけていた。林内にはシダが多かったが、その中にキランソウが這い、フタリシズカが咲いていた。

 登ってきた広い道を下り、今度は別の木道を歩いて草原を東に抜け、小さな湿地に向かった。道端のノギランは、ロゼット状の葉から茎が伸び始めていた。
 湿地では、モウセンゴケが葉を広げている。もう少し季節が進めば、白くて小さな花をつけるだろう。
 

モウセンゴケ

 5月最後の日だった。この日、全国の気温はどんどん上がって、大分県日田市では全国で今年初の猛暑日となる35.1℃を記録した。しかし、標高800mを超える砥峰高原には、初夏にふさわしいさわやかな風がそよいでいた。

山行日:2014年5月31日


砥峰高原駐車場〜砥峰登山口〜砥峰山頂〜とのみね自然交流館〜砥峰高原東屋〜砥峰高原駐車場
 とのみね自然交流館の手前に十字路があるが、そこを北に100mほど上ったところに砥峰登山口がある。登山道は始め明瞭で、曲がり角には道標もあるが、やがてその道は送電線巡視路につながっている。
 巡視路が山頂の南斜面を西へ下り始めたので、道を離れて斜面を登ると尾根の小ピーク(955m)に出た。尾根の土塁を東に進むと、砥峰の山頂(972.2m)に達した。
 登った道を下り、砥峰高原に整備された木道や散策路を歩いた。

山頂の岩石  後期白亜紀 峰山層 ホルンフェルス(火山礫凝灰岩起源)
 砥峰高原には、花崗閃緑岩が分布しているが、その北に位置する砥峰には火山礫凝灰岩起源のホルンフェルスが分布している。この地層は、砥峰高原の花崗閃緑岩の母岩にあたり、花崗閃緑岩をつくったマグマが貫入したときに、その熱によってホルンフェルス化したものである。
 山頂に露頭はないが、現地のものと考えられる転石が多数存在する。いずれも白っぽい岩石で、赤色や茶色の部分がまだらに入っている。
 双眼実体顕微鏡下で、石英・長石・白雲母・ザクロ石が確認できた。火山岩塊や異質岩片を含む火山礫凝灰岩が、貫入してきたマグマの熱によってホルンフェルス化し、それがさらに熱水変質を受けた岩石であるように観察された。

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