兵庫最古の岩石、蛇紋岩「関宮岩体」
 子供が小学生だった頃、但馬の自然学校から一つの石を持ち帰った。それは、つややかに光る蛇紋岩であり、自然学校の実習で磨いたものであった。

 兵庫県には、この蛇紋岩が豊岡市と養父市の二ヶ所に分布している。この二つの岩体は、京都府の大江山からほぼ東西に配列しているもので、「大江山オフィオライト列」と呼ばれている。
 オフィオライトとは、海洋プレート(海洋底地殻やその下のマントル物質)の塩基性および超塩基性火成岩の一連の重なりをいう。海嶺でできたと考えられているが、異論もある。

 今回訪れた関宮岩体は、ほとんどが蛇紋岩(超塩基性岩の一種)からなっている。形成年代は約4.5億年前頃(古生代オルドビス紀)とされ、ほとんど日本最古の岩石といえる。

※ 写真は、琴引峠近く(養父市)の蛇紋岩の露頭
※ 『ひすい輝石・ソーダ雲母……蛇紋岩に伴う鉱物』も参考にして下さい。

蛇 紋 岩
 表面がぬめっと光り(脂肪光沢)、さわるとすべすべしている。蛇の皮のような模様や光沢があるので、「蛇紋岩」と名がついた。
 蛇紋岩は、かんらん岩の中のかんらん石や輝石が水と反応して蛇紋石に変わってできた岩石である。写真のように、緑黒色の細長い繊維状の蛇紋石が集まっていて、表面には乳白色のクリソタイル(蛇紋石の一種)と思われる鉱物がついている。
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 色や模様が魅惑的。磨いて細工をし、置物や工芸品にもなっている。
蛇紋岩(大屋町加保坂南)
   
断層帯にみられる蛇紋岩
 蛇紋岩は、地下深部でできた岩石が断層に沿って上昇してきた岩石である。岩体の中には、多くの割れ目が走り、もろく崩れやすい。割れた面を見ると、こすれあった跡が筋となって残っていたり、こすれあって鏡のように光っていたりする。
 また、あまり割れ目の入っていない塊状の部分もある。この部分には、かんらん石や輝石がまだ残っていることがあり、黒い色をしている(かんらん岩)。
大屋町加保坂南の露頭
  
ひすい輝石
 養父市加保の山中に、ひすい輝石の露頭がある。露頭としては、日本で初めて発見されたもので、県の天然記念物として保護されている。
 鉄柵の中に見えるのは、赤土の中にとび出したひすい輝石の大きなかたまり。一部に破断面が見える。ひすい輝石の色は白く、結晶が塊状に集合している。
 蛇紋岩に含まれるこのひすい輝石は、岩石が地下の低温高圧の条件で形成されたことを教えてくれる。
ひすい輝石の露頭
  


■岩石地質■ 蛇紋岩
■ 場 所 ■ 養父市  25000図=「関宮」
■探訪日時■ 2002年8月4日

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