御旅山② 139.6m 姫路市 25000図=「姫路南部」 秋の草花とかえる岩を巡ってジオハイキング map 御旅山は、市川の河口に近い小さな山である。姫路市民がこの山に親しめるように、地元「御旅山山遊会」の人たちが里山保全活動を行っている。
登山口から、道に地層が現われていた。地層の表面は凹凸に富んでいる。そして、普通、地層といって想像するような層をなしていない。
地層を見ていると、1回目の下見のときに出会った山遊会の松岡さんが下りてこられた。今日は、ユウスゲをふやそうと実を採ってきたということで、見せていただいた。真っ黒でつやのある実だった。夏の夕方にひっそりと黄色の花を開くユウスゲ。いつか、この山で見たいと思った。
最初の鉄塔の手前は南に開けた展望地。「お月見スポット」と名づけられてベンチが設置されている。今年も、中秋の名月の夜、ここに15人ほど集まったという。
「お月見スポット」の上の鉄塔を過ぎると、道はゆるくなってやがて下っていった。道に現れる地層は、いろいろと変化した。
登山道に沿って、木の幹に樹木札がかけられていたり、草花のうしろに植物の名を記した札が立てられていた。
Stop2 鞍部から急な坂を登り97mピークを越えると、流紋岩が現れた。鉄塔の手前である。ここをStop2とした。地面に現れた流紋岩にはマグマの流れた跡が縞模様をつくっている「流理」が見えるが、単純ではなかった。場所が少し違っただけで、流理の方向がちがっている。流紋岩はブロック化し、それらの間には
火砕岩(溶結凝灰岩)がはさみ込まれていたりする。
Stop3 鉄塔を越して少し登ると、登山道の左に大きな岩が連続して現れた。どれも流紋岩でできた大岩。ここで、流紋岩の特徴である、流理・球顆・自破砕構造などが見られた。もうここは、絶対にStop3!
マグマの流れた跡が縞模様となったのが流理。ただし、流理のでき方については他の見解もあって研究が進められているが、あまり深入りできない。
岩場から、御旅山の丸い山頂が間近に見えた。山頂から目で稜線を左へたどると、岩盤の上に1つの岩が飛び出している。この岩が、かえる岩だった。10年前は知らずに見過ごしていた。今は、この山の名所としてマップにも大きく取り上げられ、この岩までの道や道標がつくられている。
岩場の先の分岐を、かえる岩の方へと進んだ。
ヒサカキが紫色の実をつけていた。ちょっと小粒だがブルーベリーに似ている。かんで見ると、苦みが口に広がった。シャリンバイの実は、もっとブルーベリーに似ていたが口に入れるをやめた。
Stop4 花や実を見て道を進むと、かえる岩の乗った大きな岩盤に出た。岩盤は流紋岩でできていた。表面は、1~2cmほどの丸まった球が飛び出している。これも流紋岩の球顆。ただし、ここで見られる球顆は不完全なものが多く形もいびつである。
かえる岩から、ツクシハギの咲く道をまっすぐ登っていくと山頂に達した。山頂には、あずま屋が建ち、山名プレートや風景板、ベンチなどが備えられていた。
山頂は絶好の展望地。市川の流れの向こうに姫路の市街地が広がり、その中に姫路城が白く浮かび上がっている。
Stop5 山頂の岩石は、弱溶結の火山礫凝灰岩。火砕流によってできた岩石である。風化が進んでいるが、石英と長石の結晶を認めることができる。有色鉱物は黒雲母と思われるが変質している。石英は融食していることがルーペで確認できる。
山頂から、南東へ下った。道のまわりは、ツクシハギやトベラやコバノミツバツツジやアカマツの幼樹。その下でオミナエシの黄色の花が風に揺れ、ワレモコウやリンドウやコガンピが咲いていた。
山行日:2024年10月20日
南麓駐車場~御旅八幡神社~かえる岩~御旅山山頂~御旅山八幡神社~南麓駐車場 map |
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御旅山八幡神社からの登山道は、要所にベンチや道標があってよく整備されている。山頂から、北へ急勾配の道を下ることもできる。 御旅山山友会制作の『御旅山自然マップ』や、灘の松原自治会発行の『恋の浜 緑の回廊マップ』がある。 |
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山頂の岩石 白亜紀後期 四郷層 火山礫凝灰岩 |
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御旅山の地質については、本文を参照してください。 毛利(2021)は、この地域の詳細な地質調査によって、四郷層は大型カルデラの西縁部でつくられた地層であって、東の宝殿層とは同じ陥没域で形成されたとしている。 毛利元紀(2021):兵庫県姫路市南東部、飾磨区妻鹿:御旅山山塊に分布する後期白亜紀火砕岩類の産状と地質過程.地学研究,66,159-181. |
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