古法華の磨崖仏の岩石 |
|
古法華寺の下に、磨崖仏が彫り込まれている。中央はお薬師さんと親しまれている薬師如来で、左に月光菩薩、右に日光菩薩を脇侍として従えている。
この岩壁の岩石は、明るい青灰色の流紋岩質凝灰岩である。数mm〜2、3cm程度の岩片を多く含んでいる。岩片の種類は、同質の凝灰岩・火山礫・軽石や異質の頁岩・シルト岩などで、ごく少量のチャートも含まれている。また、結晶片として、長石と石英が含まれている。
古法華寺の上には、岩盤に七福神の石仏が立っている。この岩盤も、流紋岩質凝灰岩であるが、含まれている岩片が大きく、大きさが30cm程度に及ぶものもある。ここから、笠松山の頂上まで尾根越しに路が通じている。 |
磨崖仏「釈迦三尊仏」 |
古法華寺 |
|
寺の周辺には、石仏が多く立っている。新旧様々な年代の石仏が混じり、ドラエモンの像まである。どの石仏も、石仏を祀る祠も、当地産の長石からできている。
寺の本尊は、浮彫如来三尊像で、白鳳時代のものである。奈良の石位寺三尊石仏とともに我が国最古の石仏とされ、国の重要文化財に指定されている。以前は、奈良国立博物館に保管されていたが、今は寺の左手に建つ収蔵庫に収められている。
|
古法華寺 |
長石(おさいし)の採石場 |
|
笠松山の北東山麓は、古くからの石切場で、山体が大きく削り取られている。現在も採石が続いていて、採石場付近は関係者以外は立入禁止となっている。
有馬層群鴨川層に属するこの岩石は、今から約8000万年前(白亜紀後期)の火砕流によってできた凝灰岩である。軟らかくて加工しやすく、また節理などの割れ目がほとんどないために、古くから「長石(おさいし)」として採石されてきた。「長石」は、この地に古墳時代からの石造文化を育み、また現在でも石垣用の間知石として広く利用されているのである。 |
長石の採石場 |
長石(おさいし) |
|
採石場の近くの長石を観察した。弱溶結の流紋岩質軽石凝灰岩である。
青灰色の基質に、数mmから2、3cmの岩片を多く含んでいる。岩片で多いのが、緑色に変質した軽石である。この軽石は、レンズ状に細長く伸びて溶結構造を表しているものが多い。その他、同質と思われる淡褐色の流紋岩、緑色の火山礫、また異質岩片としては、黒色頁岩、灰色のシルト岩などを少量含んでいる。
含まれている結晶片は、白く変質した長石、透明粒状の石英、黒雲母と思われる黒色の鉱物である。
基質の部分は、かなり粗粒でガサガサした感じがする。 |
「長石」 横、約12cm |