ヒシロガ峰②(1042m)~平石山③(1061.2m) 
神河町  25000図=「神子畑」「長谷}


千町峠から秋深まる尾根を平石山へ
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平石山山頂

 千町峠から神河町と朝来市との境界尾根を、ヒシロガ峰、平石山へとたどった。
 千町峠に建つ悠友山荘。その下から林道へ入った。しばらく歩くと、2つに分かれた林道の間に「平石山登山口」の標識があった。ここから、尾根に取り付いた。

 山はもう晩秋のよそおいだった。コナラやリョウブはほとんど葉を落としている。クマシデの葉は、緑から黄のグラデーション。
 積もった落ち葉を踏んで歩くと、カサコソと気持ちの良い音を立てた。ホオノキの大きな葉があちこちでかたまっていた。日が前から射しこんで、木の影をこちらへ長く伸ばしている。キジバトが足元から飛び立った。

 平石山登山口(林道から尾根へ) 尾根に積もる落ち葉 

 ほとんど歩く人がいないのか尾根道は、草木にうずもれようとしていた。早くもアセビを分けて歩かなければならない。
 やがて尾根はもうアセビで歩けなくなったので、少し下を進んだ。西に千町ヶ峰が尾根を大きく広げている。その右に遠く藤無山、さらにずっと遠くに氷ノ山の山影が青く見えた。

登路より望む千町ヶ峰 氷ノ山の山影

 1033.8m三角点は、小さく開かれていた。地面をヒカゲノカズラが這い、そのまわりをアセビがぐるりと取り囲んでいる。さらにその上をコナラが囲んでいた。
 その先にはクリ林が広がっていた。黄色やオレンジ色に染まった葉が光を浴びて美しい。

 クリ林

 ヒノキ林に入ると歩きやすくなったが、またすぐに雑木林に変わった。左に深い谷をへだてて、段ヶ峰からフトウガ峰を経て達磨ガ峰にいたる尾根が雄大に延びていた。遠くの千ヶ峰は、ここからも稜線の気品あるラインを見せていた。
 落ち葉を蹴散らして歩いていると、アオゲラが木の陰から声を立てて飛び立った。
 小さなピークを越えるとヒシロガ峰の頂上が見えたが・・・、手前にはアセビがまるで緑の海のように広がっていた。目を凝らすと、道跡が周囲より少しだけ低くうっすらと筋をつくっている。ここを進むしかない。
 お茶を飲み、少し休んだあと、覚悟を決めてアセビの海にもぐりこんだ。

 ヒシロガ峰へのアセビの海  道跡をたどる

 枝をかき分け、くぐり、またいで夢中になって前へと進む。アセビは道跡も埋め尽くしていたが、それでもこの一筋だけが進むことができた。アセビの海を15分ほどで脱出し、アセビの向こうに見えていたウリハダカエデのの下にたどり着いた。
 真っ赤に紅葉したウリハダカエデ。その先が、ヒシロガ峰の山頂だった。
 山頂は、リョウブとミズナラの林。コシアブラの黄色の葉が日を透かせていた。

 ヒシロガ峰山頂

 ヒシロガ峰を下ると、右手に伐採地が広がっていた。伐採のあとには植林もされて、伐採地全体がシカよけネットで囲まれている。ネットに沿って尾根を進んだ。
 カナヘビがミズナラの根元を這っていた。テングチョウが低くチラチラと飛んだ。キタキチョウがネットに止まった。

キタキチョウ

 1040mピークが近づくと左からもシカよけネットが迫り、ネットとネットにはさまれた狭い回廊を進んだ。
 1040mから先へ進むと、ようやく伐採地から抜けてヒノキ林に入った。ヒノキ林の下は、どんどん進むことができた。
 ゆるく下っていくとコルに達した。ここは、川上越の峠。小さな赤い道標が、ヒノキの幹に打ちつけてあった。
 コルからの上りは雑木林。コナラの茶色の葉は、丸く縮まって枝に残っている。ここでもウリハダカエデの赤い葉が際立っていた。
 エナガが木々を渡っていった。また一枚葉が落ちて、地面で乾いた音を立てた。

平石山山頂へ

 平石山の山頂手前で木々が途切れ、あたり一面をコバノイシカグマがおおっていた。その中に一本の小道がついている。道は、アセビの林を避けるようにぐるりと回り込むように山頂に向かっていた。

コバノイシカグマの中の小道

 平たい台地上の丘に出た。夏、ここで青々としていたイワヒメワラビはすっかり茶色。丘の向こうに、秋色に染まった段ヶ峰からフトウガ峰への稜線が水平に線を引いていた。

平石山山頂付近から段ヶ峰・フトウガ峰を望む

 それでもやっぱり最後はアセビをこいで平石山の山頂へ。三角点はアセビの中。そこから7、8m離れたクリの木に一枚の山名プレートがかかっていた。
 ネジキの葉は、緑~黄~オレンジのまだら色。カマツカの葉は、茶色一色に染まっていた。

平石山山頂

 22年前の春、ここを何人かといっしょに歩いた。そのときは、アセビもずっとまばらで小さく、白くて小さな花をつけていた。尾根には山上の庭園風の風景が広がり、どこだって歩けた。
 山頂のクリの木の下で、そのときの風景やいっしょに歩いた人たちのことを思い出していた。
山行日:2023年11月1日

行き:千町峠~1033.8m三角点~ヒシロガ峰(1042m)~1040mピーク~川上越~平石山山頂
帰り:平石山山頂~川上越~林道終点~千町峠 map
 千町峠からヒシロガ峰を経て平石山まで尾根を歩く。尾根道がアセビに埋もれているところが何ヵ所かあった。
 帰路は川上越の先で、ヒノキ林をトラバースして林道の終点に出る。そこから林道を歩いて千町峠へと戻った。

山頂の岩石 峰山層 溶結火山礫凝灰岩
流紋岩質溶結火山礫凝灰岩(千町峠)
 千町峠からヒシロガ峰を経て平石山への尾根には、流紋岩質の溶結火山礫凝灰岩が分布している。
 淡灰色~淡褐色で強く溶結した岩石である。石英・斜長石・カリ長石の結晶片に富み、黒雲母と普通角閃石をふくんでいる。石英は最大5mmと大きく、岩石を割るとギラギラと光って目立つ。頁岩の岩石片をふくんでいる。
 尾根の西の林道上では、一部の区間で花崗閃緑岩が見られた。

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