流紋岩質溶結凝灰岩でできた「頂上岩」 |
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「頂上石」は、流紋岩質溶結凝灰岩からできている。表面には、同一方向に並ぶ多くの楕円形〜レンズ型の穴が開いている。これは、引き伸ばされた軽石が風化によって粘土鉱物に変質し、その後、抜け落ちた跡である。また、岩の表面をよく観察してみると、厚さ1mm程度の薄いレンズも多く含まれていることが分かる。
斑状結晶としては、石英や長石が多く含まれている。石英は、硬いために小さく浮き上がり、そのため表面をさわってみるとざらざらしている。
同質と考えられる流紋岩の岩片が、ところどころに含まれている。径2〜3cm程度のものが多いが、大きいものは径10cmに及んでいる。この流紋岩の岩片は、乳白色を呈し、ガラス質で緻密である。 |
「頂上石」の表面
細長い穴は、引き伸ばされた軽石が抜け落ちた跡。
右上に、流紋岩の岩片が見える。
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岩の正面には、2筋の節理による割れ目が走っている。この節理の走向はNS、傾斜は80°Eである。この方向は、この岩石の西と東の両面にほぼ平行であるといえる。この主要な節理に斜交する方向にも、いくつかの節理が認められる。 |
「頂上石」上半部
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西島の岩石 |
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西島は、流紋岩質の火砕岩からできている。西島の岩石は、その岩相から対岸の赤穂付近に広く分布している相生層群赤穂累層に対比される。
今回、船の着いた室ノ内から頂上石まで採石場内を歩いたが、この中でいくつかの岩相が認められた。
室ノ内付近は、「暗灰色の多結晶質凝灰岩」である。斑状結晶として、多くの石英と長石を含む。有色鉱物としては、小さな黒雲母が含まれている。基質は、ガラス質で硬く緻密である。
中間点あたりの岩石は、「やや褐色を帯びた多結晶質凝灰岩」である。初めの岩石に比べると、含まれている黒雲母が大きく多い。
頂上岩が近づくと、「緑灰色の流紋岩質溶結凝灰岩」となる。長さ数mm〜2、3cm、厚さ1mm以下の緑色の薄いレンズが数多く含まれている(溶結構造)。斑状結晶として、粒状の石英が含まれている。室ノ内付近の岩石に比べると軟質である。
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「頂上石」の立つ丘から、下を見る
海に浮かぶのは院下島
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家島諸島の岩石 |
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40余りの島々からなる家島諸島。男鹿島・家島本島・坊勢島・西島の4島が大きく、あとは小さな無人島が散らばっている。
地質図を見ると、島をつくる岩石は一様でないことが分かる。男鹿島の大部分や、高島、松島は花崗岩からできている。家島本島には、中生代の堆積岩(丹波層群)が広く分布している。坊勢島・西島・院下島などは流紋岩質の火砕岩からできている。
この中で採石が盛んなのは、男鹿島と西島である。男鹿島の花崗岩が真石(まいし)と呼ばれているのに対して、西島の火砕岩は青石(あおいし)と呼ばれ主にコンクリートの材料になっている。
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西島遠望
御津町嫦峨山より西島を望む
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